AIとの会話を、要約される前に丸ごと自動で残す。振り分け方・題の付け方と、失敗した4つのこと

2026年11月5日·長谷川 桂介
AIとの長い会話は、途中で古い部分が自動で要約され、細かい決めごとが消えていきます。うちは「要約される直前に、会話の全文を自動でファイルにする」仕組みを作り、2026年10月から使っています。保存先の振り分け方、あとで探せる題の付け方、うまくいかなかった4つのことまで、実際の運用をそのまままとめました。
結論(3行で)
- AIとの長い会話は、途中で古い部分が要約されます。うちはその直前に、会話の全文を自動でファイルに書き出す設定にしています。社長が「保存して」と言う必要はありません。
- 保存したファイルは、題の言葉で「会社のサイト」「原稿」「社内のAI化」「経営」などのフォルダに自動で振り分け、個人の用事は会社と別の場所に分けています。
- 題は「日付+何の仕事か」。同じ会話は何度保存しても1つのファイルに上書きされるので、同じ記録が増えていきません。
「昨日の会話の、あの決めごと…どこに書いてあったっけ」
AIとの会話が長くなると、AIは途中で古い部分を自動で短くまとめます(「圧縮」や「要約」と呼ばれる動きです)。おかげで会話は続けられますが、まとめる途中で、細かい決めごとや「なぜそうしたか」が抜け落ちることがあります。
前の記事「AIとの会話を『会社の記憶』に」では、会話を残す置き場所(第2の脳)の全体をお話ししました。この記事はそのくわしい版です。会話を、要約される前に丸ごと自動で残す仕組みを、振り分け方・題の付け方・失敗したことまで、そのまま書きます。AIに頼む仕事が増えてきて、「前に決めたこと」を毎回説明し直している社長に向けた記事です。
この記事で手に入るもの
- 会話を「要約される前に」自動で残す考え方
- 残した記録を、あとで迷わず探せる振り分け方と題の付け方
- 実際に失敗した4つのことと、その直し方
- そのまま使える頼み方の文面
うちの場合:「保存しますか?」と聞かれるのが面倒になった
最初からいまの形だったわけではありません。
はじめは、会話の終わりにわたしが「この会話を保存して」と頼む形でした。ところが、大事な会話ほど夢中になっていて、保存を頼むのを忘れます。そこで、会話が長くなったらAIのほうから「そろそろ保存しますか?」と声をかけてもらうようにしました。
これも長くは続きませんでした。作業の途中で毎回聞かれると、答えるのが面倒なのです。結局、聞かずに、要約される直前に毎回自動で保存する形に落ち着きました。
- 10月14日会話の終わりに「保存して」と頼む形で始めた
- 10月16日聞かずに、要約の直前に毎回自動で保存する形に
- 10月28日置き場所を1か所にまとめ、仕事の種類ごとに振り分け
- 11月1日AI専用のパソコンへ引っ越し。ここで1つつまずいた
運営者の会社の記録。日付は2026年
自動で残す仕組み:要約の「直前」がポイント
うちのAIは、パソコンで作業をさせる道具の「Claude Code」です。Claude Code には、決まったタイミングで決まった作業を走らせる「フック」という設定があり、その中に会話を圧縮する直前に動くもの(PreCompact)があります(出典:Claude Code 公式「Hooks」)。
ここに「会話の全文をファイルに書き出す」小さなプログラムをつないでいます。プログラムはAIに作ってもらいました。
- ふだん通りに話す社長は何もしない
- 会話が長くなるAIが古い部分を要約しようとする
- その直前に保存会話の全文をファイルに書き出す
- 種類ごとに仕分け題の言葉で、会社・個人とフォルダを決める
AIのパソコンの中には、要約前の全文の記録が残っている。それを読み出して書き出すので、前半も消えない
大事なのは、要約された「あと」ではなく「直前」に残すことです。要約されたあとの会話からは、消えた部分は戻せません。
保存先の振り分け方:題の言葉で、自動で分ける
残した記録は、置き場所がばらばらだと結局探せません。うちは、保存するときに題の言葉を見て、自動でフォルダを決めるようにしています。
会社の記録
- サイト会社のホームページや教科書サイトの仕事
- 原稿・メルマガ動画の台本やメルマガの下書き
- 社内のAI化AI社員や社内の仕組みづくり
- 経営・事業事業の相談や資料づくり
- 未整理どれにも当てはまらないもの
個人の記録
- サイト個人の趣味のサイト
- その他会社と関係のない用事
個人の用事の言葉が題に入っていれば個人へ。会社と個人のファイルは混ぜない
当てはまるフォルダが見つからないものは「未整理」に入ります。未整理がたまってきたら、ときどき見て、新しいフォルダを作るか決めます。
それぞれのフォルダには「目次」のページがあり、保存するたびに自動で作り直されます。人が探すときも、AIに「〇〇の記録を読んで」と頼むときも、目次から見つけられます。
題の付け方:「日付+何の仕事か」、同じ会話は上書き
題は、あとで探すときの手がかりです。うちの決まりは3つです。
- 頭に日付:「2026-10-28_」のように始める。並べると古い順・新しい順にそろう
- 何の仕事かを短く:会話に付けた名前があればそれを使い、なければ最初の頼みごとの書き出しを使う
- 同じ会話は1つのファイル:何度保存しても、同じ会話なら同じファイルを上書きする
3つ目が意外と大事でした。長い会話は1日に何度も要約されるので、そのたびに新しいファイルを作ると、同じ会話の記録が何本も並んでしまいます。
- 24本残っている会話の記録(会社17本・個人7本)
- 約59MB保管庫全体の大きさ
- 約16MBいちばん大きい記録1本の大きさ
文章だけなので、長い会話を全文で残してもこの程度
うまくいかなかった4つのこと
正直に書くと、ここまで来るのに4回つまずきました。
- 同じ会話の記録が何本もできた:最初は保存のたびに新しいファイルを作っていたので、同じ会話の記録が会社で2本、個人で4本、重なっていました。いまは会話ごとの番号で見分けて、同じ会話なら上書きしています
- 個人の記録が会社のフォルダに混ざった:振り分けの言葉が足りず、個人のサイトの会話が会社のログに入っていました。個人の用事の言葉を足して、振り分け直しました
- 置き場所が2つあって迷った:一時期、メモのアプリとは別のサービスにも同じ記録を残していました。どちらが新しいか迷うので、1か所にまとめました
- パソコンを引っ越したら、自動保存の設定が付いてこなかった:AI専用のパソコンへ作業を移したとき、記録そのものは移しましたが、「要約の直前に保存する」設定は前のパソコンの書き方のままで、新しいパソコンでは動いていませんでした。この記事を書くための点検で気づきました。引っ越しのときは、データだけでなく「自動で動く設定」も一覧にして確かめる必要があります
まずはこれだけ:3ステップ
自動にするのは、あとからで大丈夫です。
- 会話の終わりに保存を頼む:「今日の会話を、要約せずにそのままファイルに保存して」
- 題に日付と仕事の名前を入れてもらう:「題は『日付_何の仕事か』にして」
- 慣れたら自動にしてもらう:「会話が要約される直前に、毎回自動で保存するようにして」とAIに頼む
頼み方の文面
そのまま貼って使えます。
今日の会話を、要約せずにそのままファイルに保存してください。
題は「日付_何の仕事か」にしてください。同じ会話なら、前のファイルを上書きしてください。
会話が要約される直前に、会話の全文を自動でファイルに保存する設定を作ってください。
保存のたびに私に聞かなくてよいです。
会社の仕事と個人の用事は、別のフォルダに分けてください。
保存した会話の記録の目次を作ってください。
フォルダごとに、日付・題・1行の中身を並べてください。
気をつけること
- 共有の場所に置かない社長ひとりの作業メモなので、皆が見られる場所には置かない
- パスワードを会話に書かない全文が残るので、書いたものはそのまま残る
- お客様の情報を話さない顧客の個人情報はAIとの会話に入れない
- 引っ越しのときは設定も確かめる記録だけでなく、自動で動く設定が付いてきたか
運営者の会社の決まり
全文が残るのは便利な反面、話したことが全部残るということでもあります。残すものと残さないものを、先に決めておくと安心です。
かかった費用と手間
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 保存のプログラム | AIに作ってもらった(追加の料金なし。Claudeの有料プランの中) |
| 置き場所 | メモのアプリ Obsidian(個人で使うなら無料)。複数の端末で見る同期は有料。詳しくは前の記事 |
| 社長の手間 | 最初に「会話を残したい」と頼み、振り分けのフォルダ名に答えただけ。いまは何もしていない |
もっと詳しく知りたい方へ
会話を圧縮する直前に動く設定(PreCompact フック)は、Claude Code の公式の説明書にあります。手動で圧縮したときと自動で圧縮されたときを分けて設定することもできます(確認日:2026年11月5日、出典:Claude Code 公式「Hooks」)。
同じ説明書には、フックが動いた瞬間には、会話の記録ファイルに直前のやりとりがまだ書き込まれていないことがある、という注意も書かれています。うちの保存も、要約の直前に動くので、ごく最後の1往復は、その回の保存に入らないことがありえます。次に要約されるときの保存で残る形です。
よくある質問
Q. 会話を全部残すと、量が多すぎませんか? A. 文章だけなので、思ったより小さいです。うちは24本で保管庫全体が約59MB、いちばん大きい記録でも約16MBです。
Q. 保存しますか、と毎回聞いてもらうほうが安心では? A. うちも最初はそうしていましたが、作業の途中で毎回答えるのが面倒になり、やめました。要約の直前に聞かずに保存する形にしてから、残し忘れはなくなりました。
Q. 会社と個人の記録は、別々の保管庫にしたほうがいいですか? A. うちは保管庫は1つにして、中のフォルダで分けています。保管庫を2つにしたら開き直すのが面倒で、すぐ1つに戻しました。混ざらないように、保存するときに題の言葉で自動で振り分けています。
まとめ
- AIとの長い会話は、途中で要約されて細かい決めごとが消える。その直前に、全文を自動でファイルに残すようにした
- 残した記録は題の言葉で自動で振り分け、会社と個人を混ぜない。題は「日付+何の仕事か」、同じ会話は上書き
- つまずいたのは、記録の重なり・会社と個人の混ざり・置き場所の二重・引っ越しで設定が付いてこなかったこと
今日、まずはAIとの大事な会話の終わりに「今日の会話を、要約せずにファイルに保存して。題は日付と仕事の名前で」と1回だけ頼んでみてください。慣れたら、自動にしてもらえば十分です。
残した記録の置き場所の全体はAIとの会話を「会社の記憶」にに、AIに頼む仕事の型はClaude Code活用術にまとめています。
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