AI 電話応対で人に回す線の引き方|資料にないことは答えさせず、通話の記録を問い合わせの改善に生かす方法

2026年10月23日·長谷川 桂介
出典:YouTubeの解説動画4本(発信者4人)·動画の確認
電話をAIに任せたいが、間違ったことを答えたり、怒っているお客様に機械が出たりするのは困る。そんなときに、どこからを人に回すかの線の引き方と、通話の記録をどう生かすかを、電話応対のAIを扱った番組から集めて見比べました。
結論(3行で)
- AIには決めた資料をもとに答えさせ、資料に書いていないことは答えずに人へ引き継ぐ、という決まりを指示に強く書き込むやり方が紹介されています。
- クレームや間違えられない話は人が受け、カスハラの気配はAIが見つけて人が判断する、という分け方がくり返し出てきます。
- 通話の記録は、まとめ書きで後処理を減らすことから始められ、録音から口に出さない不満を拾う使い方もあります。ただし何に使うかを先に決めておく前提です。
電話の受付をAIに任せられたら助かる。でも、AIがでたらめなことを答えたら困るし、怒っているお客様に機械の声が出たら、かえって火に油を注ぐかもしれない。導入を考えたとき、多くの社長が引っかかるのはこの点ではないでしょうか。
AIの電話番が手続きまで終えられるようになってきたことは、AIの電話応対はどこまでできるかにまとめました。この記事では、その次の段取りとして、どこからを人に回すかの線の引き方と、通話の記録の生かし方を、番組から集めて見比べました。
取り上げる番組は、電話応対の仕組みを作る会社の人が説明するものが中心です。ここでは製品の良し悪しではなく、考え方の部分を拾っています。
資料に書いていないことは答えず、人に引き継ぐ
NTTドコモビジネスの高野さんは、電話の一次対応に生成AIを使うとき、いちばん最初に議論になるのは、AIがもっともらしい間違いを答えること(ハルシネーション)だと話しています。そのうえで、AIが想像で答える状態を避けるために、最新の社内資料を探してから、その中身をもとに答える形にすると説明しています。
さらに、AIへの指示にこう書き込むそうです。
「根拠に書いていないことは答えない。人に引き継ぐ」
いきなり本番にせず、段階的に試しながら答えの正しさと速さを調整していく、とも話しています。細かいところでは、AIが答えを作るのに数秒かかるとき、電話が無音だとお客様が不安になるので、その間に音や案内の声を入れているそうです。
「回答作成中が伝わる効果音やガイダンスを入れて」
社内の資料をもとに答え、資料にないことには「答えられません」と返す仕組みは、電話でなくチャットでも同じ考え方です。試作のやり方はDifyで社内の問い合わせ係を作る方法にまとめています。
怒っているお客様と、間違えられない話は人が受ける
人に回す線について、作る側の人たちは似たことを話しています。
TBS CROSS DIG with Bloombergの番組で、Sierraの森川馨太さんは、窓口から人がいなくなることはないと話しています。不満を持っているお客様に誠意をもって向き合うのは人の方が伝わる、という見方です。
「AIって責任は取れないので」
PIVOTの番組で、RightTouchの野村修平さんも、間違った答えをしてしまうおそれのある内容や、不安を聞いてほしいという問い合わせは、人のオペレーターにつなぐと説明しています。金融の会社では、間違った答えが金融庁の検査で問題になるおそれもあるので、そこは切り分けているそうです。
カスハラ(客からの嫌がらせ)への使い方も紹介されています。高野さんは、通話をその場で調べて暴言や行きすぎた要求の気配を見つけ、基準を超えたら担当者に注意を出したり、上の人への引き継ぎを示したりする使い方を挙げています。ただ、見間違いや反応しすぎは逆効果になるので、最初から全部を自動にせず、AIが見つけて人が判断し、基準を少しずつ直していく必要があると注意しています。
人の判断を「正解」としてためると、任せられる範囲が広がる
野村さんは、問い合わせを減らすことだけを目当てに、AIにすべてを答えさせようとすると、お客様の体験が悪くなりやすいと話しています。勧めているのは、簡単でくり返しの多い対応をAIに任せ、その間に人が判断に入る形です。
「人の判断が正解のデータになってくわけですね」
人が判断した結果をためてAIに学ばせると、AIに任せられる範囲が少しずつ広がり、人は人にしかできない仕事に集中できる、という説明です。
成果の測り方について、森川さんは、AIでどれだけ用件が終わり、人が受ける電話がどれだけ減ったかで見ていくと話しています(Sierraの料金の決め方を説明する中での話です)。
通話の記録は、まとめ書きと「口に出さない不満」に使う
AIを入れると、通話の中身が文字として残ります。高野さんは、中小のコールセンターでは情報があちこちに散らばっていて、まずその整理から始める必要が出やすいと話しています。そのうえで、通話のまとめを自動で作って後処理を減らす、新人に答えの候補を出す、よくある問い合わせを自動にする、といった効果の出やすいところから小さく始められると説明しています。
記録の生かし方では、PIVOTの番組に出ているauじぶん銀行の堀野和明さんの話があります。電話では、不満をはっきり言わない人が多く、言葉の端々に不満の色が出ているだけのことが多いそうです。
「顕在化している声っていうのは実は10%でも満たない」
そこで録音から、口に出さない不満をAIで拾い出しています。ただし堀野さんは、集めた声を何に生かすかという目的を先に決めておかないと、たくさんの声から何につなげればよいか分からず、手間ばかり増えると注意しています。
小さな会社で、自分の電話を記録に残すなら
コールセンターの仕組みを入れるほどではなくても、取引先との電話の内容を残しておきたい、ということはあります。深掘りTVの動画では、カード大の録音機PLAUD NOTEを通話録音のモードに切り替え、スマホの背面に付けたまま話すと、スピーカーの振動から電話やLINE通話の声を録れると説明しています。本体をスマホから外すと録れず、イヤホンで話した内容も録れないので注意が要るそうです(動画は2024年の公開です)。
録音したものは、文字起こしと要約にかけられます。録音機の選び方や使い分けは、PLAUDとスマホの使い分け方とNotta Memoの使い方と選び方にまとめています。
まとめ
- AIには決めた資料をもとに答えさせ、資料に書いていないことは答えずに人へ引き継ぐ、という決まりを指示に書き込み、段階的に試しながら直していくやり方が紹介されています
- クレームや間違えられない話は人が受け、カスハラの気配はAIが見つけて人が判断する、という分け方が、作る側の人たちから共通して出ています
- 人の判断を正しい答えとしてためていくと、AIに任せられる範囲が広がると説明されています
- 通話の記録は、まとめ書きで後処理を減らすことから始められ、録音から口に出さない不満を拾う使い方もあります。何に使うかを先に決めておくことが前提です
この記事は、YouTubeで公開されている解説を運営者が見比べ、自分の会社で使うために整理したものです。 教えているのは、それぞれの動画の発信者です。引用した言葉は字幕で確かめ、出典の動画をその場面から再生できるようにしています。 発信者の方とこのサイトは関係がありません。くわしい手順や最新の画面は、出典の動画でご確認ください。
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