AI導入の壁は何? 調査6本で分かった、日本企業がつまずく理由と乗り越え方
AIを入れていない会社が挙げる理由で一番多いのは「詳しい人がいない」、入れた会社の心配で一番多いのは「答えが正しいか」。日本の主な調査6本を横に並べて、どの調査にも出てくる壁と、その乗り越え方を整理しました。
この数字から分かること
- AIを推進しない理由の1位は「推進するための専門人材がいない」(55.1%)
- 中小企業では「高いコスト」(46.9%)と「社内にノウハウがない」(42.0%)が上位
- AIを使っている会社の心配の1位は「情報が正確かどうか」(50.4%)
- 個人がAIを使わない理由では、日本は「使い方がわからない」の割合が4か国で最も高い
どれも「技術が足りない」というより、詳しい人がいない・使い方が分からないという壁です。社長が自分で使ってみることで、かなりの部分が崩せます。
調査ごとの比較表
| 調査名 | 発行者 | 調査時期 | 対象(規模・母数) | 何を聞いたか | 1位 | 2位・3位 | 出典 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 『生成AI』活用は企業の25%にとどまる | 東京商工リサーチ | 2025年7〜8月 | 生成AIの活用を推進していない企業4,358社 | 推進しない理由 | 専門人材がいない 55.1% | 利点・欠点を評価できない 43.8%/コストがかかる 23.2% | 東京商工リサーチ |
| 中小企業のAI等の利活用に係る実態調査 | 中小企業基盤整備機構 | 2025年11〜12月 | 中小企業1,668社 | AI導入で感じている課題 | 導入の高コスト 46.9% | 社内のノウハウ不足 42.0%/社内の人材不足 38.8% | 中小機構 |
| 生成AIに関する企業の動向調査 | 帝国データバンク | 2026年3月 | 全国1万312社 | 生成AI活用の懸念・課題(3つまで) | 情報の正確性 50.4% | 専門人材・ノウハウ不足 41.3%/活用すべき業務の範囲 40.0% | 帝国データバンク |
| ユーザー企業のIT活用実態調査(2025年) | 野村総合研究所 | 2025年9月 | 売上高上位の大手企業(この設問は340社) | 生成AI活用の課題 | リテラシー・スキル不足 70.3% | リスクの把握・管理が難しい 48.5% | 野村総合研究所 |
| 令和8年版 情報通信白書(企業向け調査) | 総務省 | 2025年度調査 | 企業に所属する個人(日米独中) | 生成AIで業務を変える組織的な取り組み | 「組織的な取組はない」27.0% | ― | 総務省 |
| 令和8年版 情報通信白書(個人向け調査) | 総務省 | 2025年度調査 | 生成AIを使ったことがない個人 | 使わない理由 | 生活や業務に必要ない 42.4% | 使い方がわからない 38.8% | 総務省 |
出典:各調査の公表ページ(2026年10月13日に確認)
調査を横に並べると見える「4つの壁」
6本の調査に出てくる答えをまとめると、壁は大きく4つです。
| 壁 | どの調査に出てくるか |
|---|---|
| 1. 詳しい人・やり方を知る人がいない | 専門人材がいない 55.1%(東京商工リサーチ)、ノウハウ不足 42.0%・人材不足 38.8%(中小機構)、専門人材・ノウハウ不足 41.3%(帝国データバンク)、スキル不足 70.3%(野村総合研究所)、使い方がわからない 38.8%(総務省) |
| 2. 何に使えばいいか分からない | 利点・欠点を評価できない 43.8%(東京商工リサーチ)、活用すべき業務の範囲 40.0%(帝国データバンク) |
| 3. 答えの正しさ・情報漏洩が心配 | 情報の正確性 50.4%・情報漏洩のリスク 33.5%(帝国データバンク)、リスクの把握・管理が難しい 48.5%(野村総合研究所) |
| 4. お金がかかる | 導入の高コスト 46.9%(中小機構)、コストがかかる 23.2%(東京商工リサーチ) |
いちばん多くの調査に出てくるのは「詳しい人・やり方を知る人がいない」です。会社の大きさに関係なく、大手企業でも中小企業でも上位に入っています。
なぜ調査によって1位が違うのか
同じ「AI導入の壁」でも、調査ごとに1位が変わります。理由は3つです。
- 誰に聞いたか:まだ入れていない会社(東京商工リサーチ)は「人がいない」、入れた会社も含む調査(帝国データバンク)は「答えが正しいか」が1位になります。入れる前と入れた後では、悩みが変わります
- どう選ばせたか:帝国データバンクは「3つまで」選ぶ形式です。選べる数や選択肢が調査ごとに違うので、割合どうしを直接比べず、順位で見るのが確実です
- どんな会社に聞いたか:中小企業だけの調査(中小機構)では「コスト」が1位、大手企業の調査(野村総合研究所)では「社員のスキル不足」が7割を超えます
AIを推進しない理由
1位は「専門人材がいない」
55.1%
生成AIの活用を推進していない企業が挙げた理由のうち、「推進するための専門人材がいない」は55.1%で最多でした。次いで「活用する利点、欠点を評価できない」が43.8%、「コストがかかる」が23.2%です。「情報漏えいの危険性が拭えない」は、大企業で32.6%、中小企業で21.4%でした。
出典:東京商工リサーチ「『生成AI』活用は企業の25%にとどまる」(2025年8月18日公表。調査は2025年7〜8月、生成AIの活用を推進していない企業4,358社が回答)
中小企業では「コスト」と「ノウハウ不足」
46.9%
中小企業がAI導入で感じている課題は、「導入にあたっての高コスト」が46.9%で最も高く、「社内のAIノウハウ不足」42.0%、「社内のAI人材不足」38.8%と続きます。
国に求める支援は「導入費用などの助成」が77.9%、「導入事例などの情報提供」が70.5%でした。ほかの会社の事例を知りたいという声が7割を超えています。
出典:中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査 報告書」(2026年3月公表。調査は2025年11〜12月、中小企業1,668社が回答)
AIを使っている会社の心配
1位は「答えが正しいか」
50.4%
生成AIを活用するうえでの懸念・課題は、次のとおりでした。
| 懸念・課題(3つまで選択) | 割合 |
|---|---|
| 情報の正確性 | 50.4% |
| 専門人材・ノウハウ不足 | 41.3% |
| 生成AIを活用すべき業務の範囲 | 40.0% |
| 情報漏洩のリスク | 33.5% |
| トラブル時の責任所在などのルール整備 | 25.5% |
小規模な企業では、「システム導入への資金不足」の割合が相対的に高くなっていました。
出典:帝国データバンク「生成AIに関する企業の動向調査(2026年3月)」(2026年5月14日公表。調査は2026年3月、1万312社が回答)
大企業でも「社員のスキル不足」が最大の課題
70.3%
大手企業のIT責任者に聞いた調査でも、生成AI活用の課題で最も多かったのは「リテラシーやスキルが不足している」で70.3%でした(前年度は65.4%)。
出典:野村総合研究所「ユーザー企業のIT活用実態調査(2025年)」(2025年11月25日公表。売上高上位の大手企業が対象で、中小企業の数字ではありません)
「組織としての取り組みはない」が約3割
27.0%
生成AIで業務を変える取り組みについて、日本企業の27.0%が「組織的な取組はない」と答えました。米国・ドイツ・中国と比べて、目立って高い割合です。
出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」(2026年7月24日公表)
個人がAIを使わない理由
38.8%
生成AIを使ったことがない人に理由を聞くと、「自分の生活や業務に必要ない」が42.4%、「使い方がわからない」が38.8%でした。「使い方がわからない」と答えた割合は、日本・米国・ドイツ・中国の中で日本が最も高くなっています。
出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」(2026年7月24日公表)
社長にとっての意味
壁の多くは「詳しい人がいない」「使い方が分からない」「事例を知らない」です。裏を返せば、社長が自分で使い始めて、社内に事例を1つ作るだけで、かなりの壁が崩れます。
- 「専門人材がいない」→ 最初の一歩に専門家は要りません。ChatGPTかClaudeに今日から頼めることから始められます
- 「何に使えばいいか分からない」→ 文章づくり・要約・定型の事務から試すのが確実です。進め方は中小企業のAI導入の進め方にまとめています
- 「答えが正しいか不安」→ 税務・法務など判断の重いものは専門家に確かめる、と線を引けば済みます
- 「情報漏洩が心配」→ 最初は「外に出て困る情報は入れない」と決めておけば安全です。ルールや規制の動きはリスクと規制についての発言で追えます
- 「コストが高い」→ 同じ性能のAIを使う費用は約2年で280分の1になっています(市場と値段の数字)
- 「事例を知りたい」→ このサイトの社長の実践ログで、実際の仕組みを公開しています
関連ページ
- 中小企業のAI導入の進め方
- 中小企業のAI導入率は何%?
- AI導入の効果はどのくらい?
- AIの値段についての発言
- リスクと規制についての発言
- メール・ファイル・予定・チャット・メモを全部入れ替える移行計画
- 社長の実践ログ
よくある質問
AI導入の壁で一番多いのは何ですか?
まだ推進していない会社では「推進するための専門人材がいない」が55.1%で最多でした(東京商工リサーチ)。中小企業に限った調査では「導入にあたっての高コスト」が46.9%で1位です(中小企業基盤整備機構)。
すでに使っている会社は何を心配していますか?
帝国データバンクの調査では、「情報の正確性」が50.4%で最も多く、「専門人材・ノウハウ不足」41.3%、「生成AIを活用すべき業務の範囲」40.0%が続きました。
中小企業ならではの壁はありますか?
中小企業では「導入にあたっての高コスト」46.9%、「社内のAIノウハウ不足」42.0%が上位です。国に求める支援は「導入費用などの助成」77.9%、「導入事例などの情報提供」70.5%でした。
大企業も同じ壁にぶつかっていますか?
大手企業のIT責任者に聞いた調査でも、「リテラシーやスキルが不足している」が70.3%で最も多くなっています(野村総合研究所)。詳しい人がいない・使い方が分からないという壁は、会社の大きさに関係なく共通です。
社員がAIを使わないのはなぜですか?
生成AIを使ったことがない人の理由は、「自分の生活や業務に必要ない」42.4%、「使い方がわからない」38.8%でした。「使い方がわからない」の割合は、日本・米国・ドイツ・中国の中で日本が最も高くなっています。
このページの数字の引用について
このページの数字や表は、出典として「社長のAIの教科書『AI導入の壁は何?』(https://kyokasho.jp/ai/data/barriers/)」と元の調査名を書いていただければ、引用・転載してかまいません。数字は、元の調査の「誰に何を聞いたか」と一緒に使ってください。
情報は2026年10月18日時点のものです。数字と発言は、それぞれの出典を開いて確かめたものだけを載せています。 予測は発言した人の見通しであり、そのとおりになることを保証するものではありません。 詳しくは各出典をご確認ください。
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