社長のAIの教科書無料相談
実践ログ使うもの:ChatGPT/Claude(頼み方)、Claude Code(資料を読ませる仕組み)真似する時間:頼み方は5分、資料を読ませる仕組みは数日(目安)

経営の壁打ち相手は、AIでいつでも持てる。稲盛和夫さんの著書などを根拠に答えさせる方法と、そのまま使える頼み方10個

2026年10月7日(更新 2026年10月18日)·長谷川 桂介

窓辺に座って考えごとをする人
写真:Freddie Marriage(StockSnap・CC0)

この記事で手に入るもの

  • 経営の壁打ちにそのまま使える頼み方の文面10個(ChatGPTでもClaudeでも使える)
  • 手元にある本や資料を、AIの「相談相手」に変える考え方
  • AIに出典を示させて、作り話を防ぐコツ
  • 紙の資料をAIに読ませるときに、つまずきやすいところ

この記事は、運営者(社長)が2026年8月から使っている「AIを経営の壁打ち相手にする仕組み」の実践記録です。

経営の判断に迷ったとき、稲盛和夫さんならどう考えるだろうか、と思うことがよくあります。著書などは手元にそろっていますが、量が多いので、どこに何が書いてあったかまでは覚えていられません。

そこで、手元の資料をAIが調べられる形にして、相談相手になってもらうことにしました。

この記事では、その仕組みの話の前に、誰でも今日から使える「AIとの壁打ち」の頼み方から紹介します。仕組みを作らなくても、頼み方を変えるだけで、AIはかなり頼りになる壁打ち相手になります。

AIを壁打ち相手にすると得られるもの

社長の相談相手は、社内にはなかなかいません。社員に話せば決定事項だと受け取られることがあるし、顧問の先生や知り合いの社長に聞くには、まだ考えがまとまっていないこともあります。

AIを壁打ち相手にすると、

  • まとまっていない考えを、そのまま話せる:話しているうちに、自分が何に迷っているのかが見えてくる
  • 遠慮のない反対意見をもらえる:社長に面と向かって反対してくれる人は、社内にはなかなかいない
  • 夜中でも休日でも聞ける:思いついたときに、すぐ整理できる

といったことが手に入ります。AIが決めてくれるわけではありません。決めるのは社長、AIは考えを整理する相手、という分け方で使うのがちょうどいいと感じています。

そのまま使える壁打ちの頼み方10個

どれも、ChatGPTでもClaudeでも、無料版でそのまま使えます。【 】の中だけ書き換えてください。どちらを使えばいいか迷う方はChatGPTとClaudeの違いと使い分けを先にどうぞ。

1. まず、迷っていることを整理してもらう

これから経営の相談をします。すぐに答えを出さず、まず私に質問を3つしてください。
私が何に迷っているのかを、一緒に整理したいです。

相談:【新しい店舗を出すかどうか迷っている】

いきなり答えを求めないのがコツです。AIに質問させると、自分でも気づいていなかった迷いの中心が見えてきます。

2. 反対の立場から考えてもらう

私は【営業担当を1人増やす】ことを考えています。理由は【問い合わせが増えているから】です。
この判断に対して、反対の立場から考えられる理由を3つ挙げてください。
遠慮はいりません。

3. 値決めを考える

【主力商品】の値上げを考えています。今の価格は【1万円】、考えている価格は【1万1千円】です。
お客様は【中小企業の経営者】が中心です。
値上げを決める前に確かめておくべきことを5つ、優先順に挙げてください。

4. やめるかどうかを考える

【3年続けている新規事業】をやめるかどうか迷っています。
続ける理由と、やめる理由を、それぞれ3つずつ挙げてください。
最後に、判断のために私が集めるべき数字を3つ教えてください。

5. 採用の判断を考える

【経理担当】を1人採用するか、今の仕事をAIや外部への依頼で減らすか迷っています。
社員は【7人】です。それぞれの選び方のよいところと気をつけるところを表にしてください。

6. 社員への伝え方を考える

社員に【来月から朝礼のやり方を変える】ことを伝えたいです。
反発が出そうなポイントを3つ挙げ、それぞれにどう説明すれば納得してもらいやすいかを書いてください。

7. 決める前の最終チェック

次の判断をしようとしています。決める前に、見落としがないかを確かめたいです。
「お金」「人」「お客様」「時間」の4つの面から、確かめておくべきことを挙げてください。

判断:【取引先からの大口の注文を受ける】

8. 尊敬する経営者の考え方で考える

【稲盛和夫】さんの考え方として広く知られていることを手がかりに、
次の悩みをどう考えればよいかを整理してください。
ただし、本人が実際にどこで言ったかが分からないことは「出典不明」と書いてください。

悩み:【利益が出ているのに、社員の給料をどこまで上げるべきか迷っている】

最後の2行が大事です。理由は後の「出典を必ず示させる」で書きます。

9. 数字の見方を教えてもらう

次の数字を見て、社長が今月いちばん気にするべき点を1つだけ挙げてください。
理由も短く書いてください。

【売上、粗利、人件費などを貼る(会社名や取引先名は消す)】

10. 相談を終えるときのまとめ

ここまでの相談をまとめてください。
「決めたこと」「まだ決めていないこと」「次に私がやること」の3つに分けて、短く書いてください。

壁打ちの最後にこれを頼むと、話しっぱなしで終わらずに済みます。

もっと多くの頼み方は、経営判断のプロンプト集、お金のプロンプト集、人事のプロンプト集、社員教育のプロンプト集にまとめています。

手元の資料を読ませると、相談相手が一段よくなる

ここからが、うちで作った仕組みの話です。

上の8番のように「稲盛さんならどう考えるか」とAIに聞くだけでも、それらしい答えは返ってきます。ただ、それはAIが想像した稲盛さんです。実際には言っていないことを、もっともらしく話す危険があります。

そこで、手元にある稲盛和夫さんの著書などを文字のデータにして、AIが調べられる形にしました。作ったのは、Claude Code(Claudeに作業を任せられる道具)です。

使い方は、ふつうに相談するだけです。

値上げをお客様にどう伝えるか迷っている。
稲盛さんは値決めについて何と言っているか。

するとAIが、手元の資料の中から関係する箇所を探します。そしてどこに書いてあるかを示しながら、考え方を整理して返してくれます。

あくまで、自分の経営判断の壁打ち相手です。記事や動画のネタにするためのものではありません。

出典を必ず示させる。作り話を防ぐ4つのコツ

AIを相談相手にするなら、確かめられる形で答えさせるのが一番大事だと感じています。うちの仕組みでは、次のルールにしています。

・答えは、手元の資料の本文から見つけた言葉を根拠にする
・根拠にした箇所は、どの資料のどこかを必ず示す
・本文に見つからないことは「見つからなかった」と答える。推測で補わない

このルールを含めて、作り話を防ぐコツは4つです。

  1. どこに書いてあるかを必ず言わせる:出典が付いていれば、気になったときに自分で原本を開いて確かめられる
  2. 見つからないときは「見つからない」と言わせる:これを言っておかないと、AIは手元に無いことでも、それらしく答えようとする
  3. 根拠の言葉を短く引かせる:「〜と書かれている」と、元の言葉を短く添えさせると、AIの要約と本人の言葉を見分けやすい
  4. 誰の言葉かを確かめる:資料には、本人以外の方の話が混じっていることがある。引用されたら、本文で誰の言葉かを見る

資料を読ませる仕組みを作らない場合でも、1と2は文面に足すだけで効きます。上の頼み方の8番に「出典不明と書いて」と入れているのはそのためです。

つまずいたところ

縦書きの読み順

日本語の本や資料は縦書きが多く、1ページが何段かに分かれていることもあります。紙をそのまま文字にすると、読む順番がバラバラになって文章がつながりません。読み順を正しく戻すところが、作っていて一番苦労した部分です。

うちの仕組みでは、ページごとに「読み順をどのくらい正しく戻せたか」の目安も持たせています。目安が低いページの言葉を引くときは、原本を見るようにしています。

文字の読み取りミス

紙の文字を機械で読み取ると、読み間違いが混じります。また、資料によっては文字のデータが入っておらず、そのままでは読ませられないものもありました。そうしたものは、まだ入れていません。

誰の言葉かの見分け

資料には、稲盛さんご本人の言葉だけでなく、聞き手や他の方の話が混じっていることがあります。特に、一人称で語られている体験談は、本人の言葉と紛らわしくなります。「本人の言葉らしさ」を機械で推定して目印にしていますが、あくまで推定です。引用されたら本文で誰の言葉かを確かめるようにしています。

短いことばでは探せない

うちの仕組みでは、「採算」のような2文字のことばだけで探すと、仕組みの都合で1件も見つかりません。「採算を合わせる」のように少し長いことばで聞くか、相談の文章のまま聞くようにしています。

AIに入れてはいけない情報

壁打ちでは、つい具体的な話をしたくなります。それでも、次のものは入れないと決めておくと安心です。

  • 取引先やお客様の名前、個人情報
  • 社員の名前と、その人の評価や給与
  • 契約で外に出さないと約束している情報

相談の中身は「A社」「社員Bさん」のように置き換えても、壁打ちの質はほとんど変わりません。

自分の会社で真似するなら

稲盛さんの本でなくても、同じことができます。たとえば:

  • 何十年分もの社内報や、創業者の話の記録
  • 自社の過去の提案書や報告書
  • 尊敬する経営者の著書

出典として「何年何月の社内報」などを示させれば、社内の知恵袋として使えます。ただし、本や資料の中身を社外に公開したり配ったりする使い方には、著作権の確認が必要です。うちの場合も、手元の資料を自分の相談用に使っているだけです。

始める順番は、

  1. まずは上の頼み方10個で、ふつうのAIと壁打ちしてみる
  2. 「この人の考え方で相談したい」という資料がはっきりしたら、それを読ませる仕組みを考える

がおすすめです。いきなり仕組みから作らなくても、1だけで十分に役立ちます。会社でのAIの使い始め方はAI導入の進め方にまとめています。

よくある質問

Q. AIの答えをそのまま経営判断に使っていいですか? A. おすすめしません。AIは考えを整理する相手です。判断の材料は増えますが、決めるのは社長です。大事な判断ほど、出典や数字を自分で確かめてください。

Q. ChatGPTとClaude、壁打ちにはどちらがいいですか? A. 頼み方10個はどちらでも使えます。両方に同じ相談をして、話しやすいほうを選んでください。手元の資料を読ませる仕組みは、うちではClaude Codeで作りました。

Q. 資料を読ませる仕組みを作るのに、プログラミングは必要ですか? A. 私は書いていません。Claude Codeに頼んで作ってもらいました。ただし、紙の資料を文字にするところは手間がかかります。上の「つまずいたところ」を覚悟しておいてください。

Q. ほかの社長はAIをどのくらい使っていますか? A. 日本での利用の広がりはAIを使っている人はどのくらい?に、調査の数字をまとめています。

まとめ

  • AIは、社内にいない「遠慮のない相談相手」になる。決めるのは社長、AIは整理する相手
  • 頼み方は「いきなり答えを求めない」「反対の立場で考えさせる」「最後にまとめさせる」の3つが効く
  • 尊敬する経営者の考え方で相談するなら、出典を必ず示させ、見つからないことは見つからないと言わせる
  • 手元の資料を読ませると、確かめられる形で答えてくれる相談相手になる。紙の資料は読み順や読み取りミスに手間がかかる

うちの会社なら、どこからAIを入れるべきか

社員数や業種をうかがったうえで、最初に手をつけると効果が出やすい業務と進め方をお伝えします。まだ何も決まっていなくて構いません。

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