採用の作業をAIで減らす方法|求人票・応募者への連絡・面接の質問がすぐ下書きできる手順【中小企業向け】
2026年10月18日·長谷川 桂介

この記事で手に入るもの
- 求人票、応募者への連絡文、面接の質問を、AIに下書きさせる頼み方の文面
- 面接で聞いてはいけないことを、AIの下書きから外す方法
- 採用でAIに任せてよいこと、人が決めることの線引き
中小企業の採用は、社長や少人数の担当者が、ほかの仕事の合間にやっていることが多いと思います。求人票を書き、応募者に連絡し、面接の日程を決め、質問を考える。ひとつひとつは小さな作業でも、積み重なると大きな時間になります。
このうち、文章を書く作業は、AIに下書きさせると早く終わります。
ただし、採用は人の人生に関わる仕事です。合否を決めるのは、必ず人です。この記事では、その線引きをはっきりさせたうえで、すぐに使える手順を紹介します。
AIに任せてよいこと、人が決めること
| AIに下書きさせてよい | 人が決める |
|---|---|
| 求人票の文面 | 給与・勤務時間などの条件 |
| 応募者への連絡文(お礼・日程調整・結果の連絡) | 合否 |
| 面接の質問の候補 | 応募者の評価 |
| 面接のメモの整理 | 採用するかどうかの最終判断 |
応募書類をAIに読ませて「この人は採用すべきか」と聞くのは、やめてください。AIの判断には偏りが混ざることがありますし、応募者の個人情報をAIに渡すことにもなります。
手順1:求人票の下書きを作る
まず、仕事の中身と条件を箇条書きで書き出します。条件は、AIに考えさせず、必ず自分で決めます。
中小企業の求人票を書いてください。
【会社】
・業種:【金属部品の製造】
・社員数:【15人】
・場所:【〇〇市】
【募集する仕事】
・職種:【製造スタッフ】
・主な仕事:【機械の操作、部品の検査、出荷の準備】
・入社後しばらくの教え方:【先輩について3か月】
【条件】(ここに書いたこと以外は書かないでください)
・雇用形態:【正社員】
・給与:【月給〇〇万円〜〇〇万円】
・勤務時間:【8:30〜17:30】
・休日:【土日祝】
条件:
・仕事の1日の流れが想像できるように書いてください
・「アットホーム」のような、どの会社にも当てはまる言葉は使わないでください
・条件の欄に書いていない手当や待遇は、足さないでください
「条件の欄に書いていない待遇は足さない」が大事です。AIは、気を利かせて「賞与あり」「資格手当あり」のような、実際にはない待遇を書き足すことがあります。求人票に事実と違うことを書くと、あとで大きなトラブルになります。
求人票に書かなければいけないこと
求人を出すときは、法律で決まった項目を書く必要があります。たとえば2024年4月からは、「従事すべき業務の変更の範囲」「就業の場所の変更の範囲」などが、募集のときに示す項目に加わりました(確認日:2026年10月18日、出典:厚生労働省「職業安定法施行規則改正|労働条件明示等」)。
AIの下書きに、こうした項目が抜けていないかは、厚生労働省の案内を見ながら確かめてください。迷うところは、社会保険労務士に確認するのが確実です。
手順2:応募者への連絡文を作る
応募のお礼、面接の日程調整、結果の連絡など、応募者への連絡は毎回似た文面になります。型を一度AIに作ってもらい、保存しておくと便利です。
採用の応募者に送る、次の3つのメールのひな形を作ってください。
名前や日付は【 】で空けておいてください。
1. 応募へのお礼と、面接の日程の候補を伝えるメール
2. 面接の日時が決まったことを伝えるメール(場所、持ち物、当日の連絡先を入れる)
3. 不採用を伝えるメール
条件:
・丁寧で、温かみのある文面にしてください
・3の不採用のメールでは、理由は書かず、応募へのお礼を伝えてください
不採用の連絡は、言いにくいぶん後回しになりがちです。型があれば、すぐに送れます。応募者にとっても、早く結果が分かるのはありがたいことです。
手順3:面接の質問を作る
面接の質問は、「この仕事に必要な力があるか」を確かめるためのものです。仕事の中身から逆算して、AIに候補を出してもらいます。
次の仕事の面接で使う質問を、8つ考えてください。
【仕事】
・【製造スタッフ。機械の操作、部品の検査、出荷の準備】
・【決まった手順を守ることと、異常に気づいたらすぐ報告することが大事】
条件:
・仕事に必要な力(手順を守る、報告する、など)を確かめる質問にしてください
・それぞれの質問で、何を確かめたいのかを1行で書いてください
・家族、出身地、住まい、宗教、支持政党、尊敬する人物、愛読書など、
仕事の力と関係のないことを聞く質問は入れないでください
最後の条件は、とても大事です。厚生労働省は、採用選考で配慮すべきこととして、次のようなことを挙げています(確認日:2026年10月18日、出典:厚生労働省 公正採用選考特設サイト「採用選考時に配慮すべき事項」)。
- 本人に責任のないこと:本籍・出生地、家族、住宅の状況、生活環境・家庭環境
- 本来自由であるべきこと:宗教、支持政党、人生観・生活信条、尊敬する人物、思想、労働組合や社会運動、購読している新聞・雑誌・愛読書
- 選考の方法:身元調査、合理的・客観的に必要と認められない健康診断、適性・能力と関係のない項目を含んだ応募書類
雑談のつもりで「ご家族は?」「ご出身は?」と聞いてしまうことがあります。AIに作らせた質問にも、こうした質問が紛れ込んでいないか、必ず自分の目で確かめてください。
質問を確かめてもらう
自分で作った質問を、AIに確かめてもらうこともできます。
次の面接の質問の中に、厚生労働省の「公正な採用選考」の考え方から見て
聞かないほうがよい質問があれば、指摘してください。
指摘した質問は、仕事の力を確かめる別の聞き方に直してください。
【ここに質問を貼る】
ただし、AIの指摘がいつも正しいとは限りません。最後は、厚生労働省の案内と照らし合わせてください。
手順4:面接のメモを整理する
面接が終わったら、メモを整理しておくと、あとで比べるときに役に立ちます。
次の面接のメモを、「確かめたかったこと」ごとに整理してください。
メモに書かれていないことは足さないでください。
評価や合否の判断は書かないでください。
【確かめたかったこと】
(手順3で作った質問の「確かめたいこと」を貼る)
【面接のメモ】
(ここにメモを貼る。応募者の名前は「Aさん」などに置き換える)
「評価や合否の判断は書かない」と頼むのがポイントです。AIには、事実を整理するところまでを任せます。比べて決めるのは、人の仕事です。
気をつけること
応募者の個人情報
応募書類には、名前、住所、電話番号、経歴など、たくさんの個人情報が入っています。
- 応募書類をそのままAIに貼らないでください。どうしても使うときは、名前を「Aさん」に置き換え、住所や電話番号は消します
- 無料版や個人向けのプランでは、入力した内容がAIの改良に使われる設定になっていることがあります。ChatGPTは「すべての人のためにモデルを改善する」の設定でオフにできます(確認日:2026年10月18日、出典:OpenAI ヘルプ「データコントロールに関する FAQ」)
- 社内でどこまでAIに入れてよいかは、社員にAIを使わせる前に決める社内ルールで決めておきます
AIは間違える・偏る
AIは、もっともらしい文章を作りますが、事実と違うことを書き足したり、知らないうちに偏った書き方をしたりすることがあります。求人票の「書いていない待遇」、面接の質問の「聞いてはいけないこと」は、毎回確かめてください。
労務・法律の判断は専門家に
求人票に書く条件、雇用契約の中身、選考のやり方が法律に合っているかは、AIに任せず、社会保険労務士や弁護士などの専門家に確認してください。厚生労働省やハローワークの案内も役に立ちます。
道具の選び方
求人票や連絡文の下書きなら、無料版のChatGPTやClaudeで十分です。
応募が多くなってきたら、採用の管理サービス(応募者の一覧、日程調整、連絡をまとめて管理するもの)を使う手もあります。AIの機能がついたものもあります。選ぶときは、次の点を見てください。
- 応募者の個人情報がどこに保存され、どう守られているか
- AIの機能が、合否の判断まで自動でしてしまうものになっていないか(最終判断を人ができるか)
- 社内の採用の人数と頻度に、料金が見合うか
料金と機能は変わるので、必ず各社の公式ページで最新の内容を確かめてください。
まとめ
- AIに任せるのは文章の下書きまで。条件と合否は人が決める
- 求人票は「書いていない待遇は足さない」と頼み、法律で決まった項目が抜けていないか確かめる
- 面接の質問は、仕事に必要な力から逆算して作る。家族・出身地・思想などを聞く質問は外す
- 応募書類はそのまま貼らない。名前を置き換え、連絡先は消す
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