電話応対をAIに任せる方法|仕事の手を止めずに、用件だけをあとで受け取れる仕組みと選び方【中小企業向け】
2026年10月18日·長谷川 桂介

この記事で手に入るもの
- AI電話サービスが、どういう仕組みで電話を受けているかの全体像
- AIに任せやすい電話と、人が出るべき電話の分け方
- サービスを選ぶときに確かめる8つの観点と、試す前の準備に使える頼み方の文面
少人数の会社では、電話が鳴るたびに誰かが手を止めることになります。営業の電話、よくある問い合わせ、予約の受付。出てみたら急ぎではなかった、ということも少なくありません。
こうした電話の「最初の受け答え」を、AIに任せるサービスが増えています。AIが電話に出て用件を聞き取り、その内容を文字にして、チャットやメールで届けてくれる、という仕組みです。
この記事では、特定の製品をすすめるのではなく、仕組みと選び方の観点をまとめます。
AI電話サービスの仕組み
多くのサービスは、だいたい次の流れで動いています。
- 電話を受ける:かかってきた電話に、AIが自動で出ます
- 聞き取る:相手の話す声を、音声認識で文字にします
- 答える・振り分ける:あらかじめ登録しておいた答え(営業時間、場所、よくある質問など)を返したり、用件に応じて担当者に電話をつないだりします
- 届ける:用件の要約や文字起こしを、チャットやメールで社内に届けます
昔からある「1番は〇〇、2番は〇〇」と番号を押して選ぶ自動音声と違うのは、相手が話した言葉そのものを聞き取って、用件をつかもうとするところです。
電話番号はどうなるのか
導入するときに必ず確かめたいのが、電話番号の扱いです。サービスによって、主に次のような形があります。
- 新しい番号をサービスで用意する
- 今の番号にかかってきた電話を、サービスに転送する(電話会社の転送サービスを使う)
今の番号をお客様に広く知らせている会社なら、転送で使えるかどうかは大事な点です。どちらの形に対応しているか、転送にどんな費用がかかるかは、サービスと電話会社の両方に確かめてください。
AIに任せやすい電話、人が出るべき電話
すべての電話をAIに任せる必要はありません。まずは、電話の種類を分けるところから始めます。
任せやすい電話
- よくある問い合わせ:営業時間、場所、駐車場、定休日など、答えが決まっているもの
- 予約・受付:日時と名前、用件を聞き取って、あとで人が確認するもの
- 営業の電話:用件と連絡先だけ聞いておき、必要なものだけ折り返す
- 営業時間外の電話:用件を聞いておき、翌朝に人が対応する
人が出るべき電話
- クレーム・お詫びが必要な電話:相手の気持ちに寄り添う対応は、人のほうが向いています
- 急ぎの連絡:事故、故障、体調など、すぐに人が判断しなければならないもの
- 大事なお客様・取引先からの電話:関係づくりに関わる電話は、人が出たほうが安心です
- お金や契約の話:金額や条件を電話で約束するようなものは、AIに答えさせない
大事なのは、AIが「これは人につなぐべき」と判断したとき、すぐに人に回せることです。急ぎの電話がAIで止まってしまうのが、いちばん困ります。
手順1:今の電話を数えて、分ける
導入を考える前に、まず1〜2週間、かかってきた電話を簡単に記録します。日時、相手、用件、急ぎかどうか、くらいで十分です。
記録がたまったら、AIに分けてもらいます。
次は、うちの会社に2週間でかかってきた電話の記録です。
用件ごとに分けて、件数の多い順に表にしてください。
列:用件の種類/件数/急ぎだったもの/答えが決まっているか(はい・いいえ)
最後に、「AIに最初の受け答えを任せやすそうな用件」と
「人が出たほうがよさそうな用件」を分けて書いてください。
【ここに電話の記録を貼る。相手の名前や電話番号は消しておく】
これで、どのくらいの電話をAIに任せられそうかが見えてきます。
手順2:AIに答えさせる内容を書き出す
AI電話サービスの多くは、「よくある質問と答え」や「話の流れ」を登録して使います。登録する内容の下書きも、AIに作ってもらえます。
AI電話サービスに登録する「よくある質問と答え」を作ります。
次の会社の情報から、電話でよく聞かれそうな質問と、その答えを10組作ってください。
【会社の情報】
・営業時間:【平日9:00〜18:00】
・定休日:【土日祝】
・場所:【〇〇駅から徒歩5分】
・駐車場:【2台】
条件:
・電話で聞いて分かるよう、1つの答えは2文以内にしてください
・ここに書いていない情報は答えに入れず、「担当者から折り返します」としてください
電話の答えは、耳で聞いて分かる短さにすることが大事です。また、登録していないことをAIが勝手に答えないように、「分からないことは折り返す」と決めておきます。
手順3:最初の一言を決める
AIが電話に出たとき、最初に何と言うかも決めておきます。
AI電話サービスで、電話に出たときの最初のあいさつを3案作ってください。
・会社名は【〇〇株式会社】です
・AIが応対していることが、相手に分かるようにしてください
・通話を録音する場合は、そのことも伝えてください
・15秒以内で言える長さにしてください
AIが応対していることは、最初に伝えるのがおすすめです。人だと思って話していたらAIだった、と後で分かると、相手は良い気持ちがしません。
選ぶときに確かめる8つの観点
サービスを比べるときは、次の点を確かめてください。
- 電話番号の扱い:新しい番号か、今の番号からの転送で使えるか
- 日本語の聞き取りの正確さ:無料で試せるなら、社員に電話をかけてもらって試す。社名や商品名、地名が正しく聞き取れるか
- 人への引き継ぎ:急ぎの電話や、AIが答えられない電話を、すぐ人につなげるか
- 届け方:用件の要約が、普段使っているチャットやメールに届くか
- 料金のしくみ:月額の基本料金と、通話の時間や件数で増える料金があるか。転送にかかる電話会社の料金も含めて考える
- 通話の録音とデータの扱い:録音や文字起こしがどこに保存され、どのくらいの期間残るか。AIの学習に使われるか
- 設定の手間:よくある質問や話の流れを、自分たちで登録・変更できるか
- 試せる期間:本番の前に、試しの期間があるか
料金と機能は、サービスによっても時期によっても違います。必ず各社の公式ページで最新の内容を確かめ、できれば見積もりを取って比べてください。
気をつけること
個人情報
電話では、相手の名前、電話番号、住所、用件など、個人情報をたくさん聞くことになります。
- 録音や文字起こしのデータが、どこに保存され、誰が見られるのかを確かめてください
- 通話を録音する場合は、そのことを相手に伝えてください
- 手順1の電話の記録をChatGPTやClaudeに貼るときは、相手の名前や電話番号を消してから貼ります
AIは聞き間違える
音声認識は、聞き間違いをします。とくに、名前、電話番号、日付、数字は間違いやすいところです。予約や折り返しの連絡先は、届いた要約をそのまま信じず、必要に応じて録音を聞き直したり、相手に確かめたりしてください。
最後は人が対応する
AI電話は、最初の受け答えと聞き取りを任せる道具です。届いた用件に対応するのは人です。折り返しの約束をした電話を放っておくと、AIを入れる前より信頼を失います。届いた用件を誰が、いつまでに見るかを、社内で決めておいてください。
契約・法律がからむときは専門家に
電話でお客様の情報を扱うときの決まりや、通話の録音の扱いで迷うときは、弁護士などの専門家に確認してください。
まとめ
- AI電話サービスは「電話を受ける→聞き取る→答える・振り分ける→届ける」の流れで動く
- よくある問い合わせ、予約、営業電話、時間外の電話は任せやすい。クレームや急ぎの電話は人が出る
- 導入の前に、2週間ぶんの電話を数えて分けると、任せられる量が見える
- 選ぶときは、電話番号の扱い、聞き取りの正確さ、人への引き継ぎ、料金のしくみを必ず確かめる
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