法人カードのポイントを個人利用するとどうなる?役員賞与・税務調査・立て替えのポイントまで税理士の説明を見比べ
2026年10月23日·長谷川 桂介
参考にした発信者:大家さんの知恵袋、元国税調査官【税金坊】根本和彦、KayPay / ケイペイ、恵比寿の八木社長【3分でわかる税金】、はまだ税理士法人のちょっとお得な税金の豆知識【税理士&公認会計士】、【公式】クレジットカードアドバイザー協会、出版TV by サンライズパブリッシング、社会保険労務士法人ローム(YouTube)
この記事について:YouTubeで公開されている解説動画を運営者が視聴し、見比べて整理したものです。当サイトが取材したものではなく、発信者の方・カード会社とこのサイトは関係がありません。「」は各動画の字幕からの短い引用で、すぐ下にその場面を示しています。
会社の支払いでたまったポイントやマイルを、社長が家族旅行に使ってもいいのか迷う人は多いはずです。この記事では、税理士・元国税調査官の動画を見比べ、役員賞与として扱われる理由、税務調査での聞かれ方、個人カードで立て替えた場合の考え方をまとめます。
結論(3行で)
- 会社の支払いでたまったポイントは「会社のもの」と説明する税理士がほとんどです。
- 社長が私用で使うと役員賞与とされ、会社と社長の両方に税金がかかる「ダブル課税」になりうると説明されています。
- 個人カードで立て替えた場合や社員の利用は扱いがはっきりせず、社内のルールづくりをすすめる声が多く聞かれます。
会社の仕入れや広告費、税金までカードで払うようになると、ポイントやマイルが驚くほどたまります。「これで家族とハワイに行けるのでは」と考えたとき、気になるのが税金です。会社のお金で払った分のポイントを、社長が自分のために使ってよいのでしょうか。
税理士や元国税調査官の動画を見比べると、答えの骨組みはほぼ共通していました。一方で、個人カードで立て替えた場合などは、発信者によって言い方に幅があります。ここでは、それぞれの説明を並べて整理します。
会社の支払いでたまったポイントは「会社のもの」という説明が基本
大家さん専門の税理士として発信している渡邊浩滋さんは、法人カードでためたポイントは法人のものだと説明しています。そのうえで、ポイントを会社の業務に使うかぎりは問題がないとしています。
渡邊さんの例では、ポイント5万円分をマイルに換えて出張の交通費にあてた場合、会社には5万円の収入(雑収入)が立ち、同時に5万円の交通費が経費になります。収入と経費が打ち消し合うので、法人で使うぶんには税金はかからない、という説明です。
元国税調査官の根本和彦さんも、法人で貯まったポイントを事務用品の購入など法人の事業に使うなら課税関係は発生しない、と話しています。根本さんは、法人で貯まったポイントは法人の事業に関連するところで使うのが正しいやり方だ、とまとめています。
社長が私用で使うと「役員賞与」になり、税金が二重にかかる
問題になるのは、そのポイントを社長が個人の旅行や趣味に使った場合です。渡邊さんによると、ポイントで交換した商品やサービスを役員が受け取ると、会社から役員賞与(役員へのボーナス)をもらったという扱いになる可能性があります。
役員賞与は、原則として税務署に前もって届け出をしないかぎり会社の経費にならない、と渡邊さんは説明しています。すると次のようなことが重なります。
- 会社:ポイント分の収入は立つのに、経費にはならないので法人税がかかる
- 社長:役員賞与を受け取ったとして所得税・住民税がかかる
- さらに:会社が源泉徴収をしていなかったと指摘され、ペナルティがかかるおそれがある
根本さんも同じ点を強調しています。個人事業主なら一時所得として50万円までは税金がかからないのに対し、法人の場合は事情が違うと話しています。
「法人の場合は理論上は1円でもですね課税が発生します」
根本さんによれば、社長が個人的にもらったものは法人からのボーナスとして認定され、法人税と社長の所得税の両方が増える「ダブル課税」になります。会社の支払いでたまるポイントは金額が大きくなりやすいので、社長こそ気をつけたいところだ、という話です。
税務調査で実際に聞かれた例
「理屈ではそうでも、実際に調べられることはあるのか」という疑問には、ヒロ税理士の話が参考になります。KayPayさんの動画にゲストで出演したヒロ税理士は、自分の関わった税務調査で、ポイントの使い道を聞かれた例を紹介しています。
その会社はネット広告の代理店で、クライアントの広告費をカードで払い、年間100万円相当以上のポイントがついていたそうです。調査官からポイントを何に使ったのか明らかにしてほしいと言われ、カード会社にも問い合わせが入ったものの、情報は出してもらえなかった、と話しています。結果として、その時はカードの件では追徴にならなかったそうですが、ヒロ税理士は次のように話しています。
「そういう動きが起こってますので油断はできないという感じですね」
根本さんも、金額が少ないうちは税務調査でスルーされることが多い一方、目立つ金額になると突っ込まれることがある、と話しています。
会社の経費を個人カードで立て替えたときのポイント
社長や社員が自分のカードで会社の経費を払い、あとで会社から精算してもらう。このとき個人カードにたまったポイントはどうなるのでしょうか。
恵比寿の八木社長は、会社の規定で認めているなら別だが、そうでなければ立て替えでたまったポイントも基本的には会社のものだと説明しています。
「基本的には限りなくグレーゾーンなんですけれども」
八木社長は、そのポイントを個人で使うと会社からの給与とみなされ、課税の対象になりうると話しています。
税理士・公認会計士の濱田隆祐さんは、この論点には税法上はっきりした決まりがなく、あくまで個人の解釈だと前置きしたうえで、ポイントは本来会社に帰属すると考える立場を紹介しています。個人が使えば給与として課税される可能性がある一方、実際に課税されたという事例はあまり聞かないとも話しています。
「将来的なリスクはゼロではないというイメージ」
濱田さんは、社員一人ひとりが申告するのは現実的ではないので、ポイントを給与として扱うか、次の会社経費に使うかなど、会社側でルールを整えるのが本来の形だと話しています。逆に、社員がもともと持っていた個人のポイントで会社の経費を払った場合は、ポイント分も含めて精算を求められれば会社は断りにくい、とも説明しています。
社員がポイントを使う場合と、社内のルール
クレジットカードアドバイザー協会の講師で税理士の水谷是繁さんは、会社のポイントを社員が私的に使うケースを取り上げています。水谷さんが挙げている心配は、税金だけではありません。
- ポイントが多くつく高い商品をわざわざ選ぶなど、会社にとって合理的でない買い物が起きる
- 誰がどれだけ使ったか、会社が把握できなくなる
- 一部の人だけがポイントを得られると、社員の間で不公平感が生まれる
「会社がポイントに関してしっかりルールをつくった方がいいんじゃないかな」
水谷さんは、一定額以上の買い物は個人の立て替えにせず会社が直接払う、といった決め方も一つの案として紹介しています。
発信者によって言い方が分かれるところ
税理士の説明はほぼそろっていますが、カードの活用を勧める立場の発信者には、少し違う言い方も見られます。
法人カードの活用を紹介している三浦亘さんは、法人カードでもポイントは社長個人につくと話しています。ただし三浦さん自身も、法人カードで払ったものは法人の財布なので、ポイントも法人の拡大のために使うのが基本的な筋だと添えています。
社会保険労務士の真木さんは、個人で使う分を自分のホテル系カードで立て替え、会社から精算を受ける形でポイントを得ていると紹介しています。さらに、ほぼすべての会社経費を還元率の高い個人カードで払う社長もいると紹介しつつ、真木さん自身はそこまではしていないと話しています。
立て替えでたまったポイントは会社のもの、と説明する八木社長や濱田さんの話と並べると、受け止め方には差があります。どこまでが許されるかは、会社の規定のあり方や金額によって変わりうる、というのが見比べた印象です。
まとめ
- 会社の支払いでたまったポイントは「会社のもの」で、会社の業務に使えば税金の心配はない、という説明が共通していました
- 社長が私用で使うと役員賞与とされ、法人税と所得税の「ダブル課税」や源泉徴収漏れの指摘につながりうる、と複数の税理士が話しています
- 税務調査でポイントの使い道を聞かれた例も紹介されており、金額が大きいほど目立つと話されています
- 個人カードでの立て替えや社員の利用は決まりがはっきりせず、社内のルールづくりをすすめる声が多くありました
- 会社ごとに扱いが変わるので顧問の税理士に確認を、とどの動画でも添えられています
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